またべつのトワイライト

もう「2013」の数列が過去だって感覚が身についた。
縦じまのパジャマを着た死体がごろごろ転がる部屋を通って入ったウォークインクローゼットに無数に吊り下がる重たく黒い服の中から親戚の結婚式に着ていく服を探す。結婚式では中国風のサーカス団がショーをおこない、プロジェクターで映し出された七色のくらげが照明の落とされた会場の壁に飛び交うのを写真に収めようとするもくらげはうまく写らなかった。

足の下の構造体のことなんて誰も気に留めない。

こういう黒点がじわじわと増えていくのか。まわりより温度が低いといっても4000度ある。表面が覆い尽くされたとき、でかい波がやってくる。忘れた頃に滲んで薄くなるといい、彼女の指のほくろみたいに。

横浜の夜空を橙色の重たい雲がおおう。不思議な音に気付いてそとに出ると細かい氷の粒が空から降っている。白い。黒いジャケットに星空が浮かび上がってきた。
去年の今ごろは、入院のことばかり考えていたような気がする。

今はただここで水が音を立てて落下し、風がおだやかに流れるのを見ている。